名古屋で斎場を4会館経営する、「かとう」様からご依頼を頂き、甚目寺ホール、稲沢ホールの2会館の内装デザインを担当しました。

当時、コロナの影響を受け大規模での式が減り、小規模の式が増加していました。
それに対応できる施設へとリノーベーションすることがクライアントの目的であり、課題でした。

東京では昨今、家族葬と呼ばれる30人以下の小規模の斎場が増えてきていますが、まだ名古屋・愛知だと少ないそうで、かとう様はいち早くこの取り組みを行いたいとのことでした。

一方で、小規模の式は客単価が低く、スタッフのオペレーションを極力軽減しないとビジネスとして成り立たなくなってしまう。

そんなオリエンもあり、弊社からは以下のようなコンセプトとテーマを策定。

– いわゆる「お葬式感」が無く、寂しさではなく、お別れの温かみを感じる場所に。
– 利用者がワクワクする場所に。
– 快適に大切な時間を過ごせつつ、ご家族自身で生活を完結できるような空間に。

誰もが訪れる死という日に向けて「ここで挙げたい。最後にみんなとお別れしたい。」と亡くなる前に故人自身が明るい気持ちで選んでくださるような場所を目指しました。

自身の墓石を事前にデザインを検討して選ぶように、斎場も「ここがいいなあ!」とポジティブに選ぶような世界をつくれたら、と思い、デザインを検討しました。

どちらの会館も木を基調に自然素材をふんだんに使い、清潔感があり優しい世界観に。

一般的な斎場だと暗い色合いにするところをあえてナチュラルな木の色味を活かしています。

ご家族が最後に過ごす空間は、まさにお家のような雰囲気に。

落ち着いてその大切な時間を過ごせるよう、居心地の良い空間に。斎場では一般的には使わない、家具や素材をあえて使うことで新鮮さと、居心地の良さを作り出しています。

 

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名古屋に複数会館を経営する加藤さまからご相談の連絡をもらったのは2021年の夏頃。
弊社代表のnoteなどを見てたまたまand Supplyを知ったそうです。

最初の打ち合わせで、「お葬式場のデザインをやったことはありますか?」と質問され、
「もちろん無いです!でも、だから新しいものを作れます。」と答えたのが懐かしいです。

今回、and Supplyに声を掛けて頂いたのもその理由があったそうでした。

斎場に慣れている設計・内装会社だといつも同じようなデザイン、雰囲気になってしまうため、あえて自分たちとは遠いと思われる人たちに声をかけてみた、と。会ったこともない、東京の弱小集団に依頼してくださった優しさ(と勇気)に感謝です。

自分自身、あまりこれまでお葬式に参列した経験がありませんでした。
馴染みがなく、当たり前に「悲しい場所」「厳かな場所」という印象がありました。

もちろん、最後の別れになるので悲しいのですが、参列した方々やご家族の方々が明るく笑顔で、落ち着いた気持ちでその時間を過ごせたらと思います。

写真やプランを見せた友人・知人に「結婚式場みたいだね!」「家みたい!」と言われたのは、まさに狙っていたことなので嬉しいです。
自分の祖母に今回のプロジェクトを話した際に、「素敵そうだし、そうしたら私はそこであげようかな」と笑って言ってくれました。

その話を加藤さまにお話したら、「まさにそのような光景をつくることが目標です」と喜んでくださいました。
今後の、誰かの別れを楽しく、明るく、平穏に過ごす時間を与えることに寄与できたなら光栄です。

Producer 倉嶋